ポッツモデルの歴史(成立ち)

今回は,前に「研究進捗状況 2015.07.21」で述べたように,研究しているポッツモデルの歴史についてまとめる。

ポッツモデルへとつながる最初の研究は, 1943年 Ashkin と Teller [1] によって2次元正方格子のイジングモデルを4状態へと拡張したモデル4状態のモデルについて研究が行われた。次に,1952年に名前の由来となった Potts が以下に続く研究[4]を行った。Potts は,Kramers と Wannier の方法[2][3]を使用し,スピンの方向を角度とみなしてq状態に拡張した


 \mathcal{H} = - \sum _{ \langle ij \rangle } J( \Theta _{ij} )

(ここで


 \Theta _{ij} = \Theta _{n_i} - \Theta _{n_j} , \Theta _n = 2 \pi n / q, n = 0,1, \ldots , q-1

であり,和は隣接した格子点について行うという意味)というモデルを用いて


 J( \Theta ) = \varepsilon _1 \cos \Theta

の時,q = 2,3,4 の正方格子ついての臨界点を決定した。このときq > 4での臨界点を見つけることはできなかったが,


 J( \Theta ) = \varepsilon _2 \delta _{Kr} ( n_i , n_j )

の特別な場合においてはすべてのqについての臨界点が推量された。そしてポッツモデルという名前は(論文を読んでいないので分からないが)1974年に Domb によって提案[5]されたようだ。1つ目のJ(Θ)の形は planar Potts model と呼ばれ,2つ目は standard Potts model と呼ばれる。通常ポッツモデルと呼ばれるのは後者のほうである。(他にも色々と呼び方はあるみたいだ)

数式は[6]より引用

Refarences
[1] J. Ashkin and E. Teller, Phys. Rev. 64, 178 (1943).
[2] Kramers, H. A. and Wannier, G. H., Phys. Rev. 60, 252 (1941)
[3] Kramers, H. A. and Wannier, G. H., Phys. Rev. 60, 263 (1941)
[4] Potts, R. B., Proc. Camb. Phil. Soc. 48, 106 (1952)
[5] Domb, C., J. Phys. A 7, 1335 (1974)
[6] F. Y. Wu, Rev. Mod. Phys. 54, 235 (1982)

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